ツナ受け長編小説

□『あなたに側にいて欲しい』
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霞む目で、朧に移る残像は、夢?現?意識を手離す刹那、この眼に焼き付いたのは、強烈な焔を宿した、あの子の美しい姿だった。

 † † †

いつの頃からだろう?君のことが気になりだしたのは。

『気にくわない』
それが最初の印象だったと思う。印象…?違うな。存在すら気に止めたかどうか。

弱い生き物は嫌いだ。大事にしても、すぐに壊れるから。だったら最初から咬み殺してしまえばいい。失うものに縛られるなんてごめんだ。

最初僕が興味を惹かれたのは「赤ん坊」だった。僕の攻撃をあの身体で受け止めたんだ。信じられなくてワクワクした。

その赤ん坊が、いつもあの草食動物の側にいる。風紀として眼をつけてた問題児共も、何故か彼の回りに集まる。

自然あの子に関心が生まれるのは、当然だろう?

あの子に何があるの?いつも人の影に隠れて脅えている。

最初のうちは、暇潰しのサンドバックくらいになるかもね、ぐらいだった。なのに、時折不思議な炎を灯しては、それまでと対照的な反射神経で、縦横無尽に暴れまくる。

変わった子だ。

体育祭の時も。思えば最初に会った時も。

でも何で裸なの?あんな細い身体で、よくあんな馬鹿力が出せるよね。
一度彼がその状態になってる時に、気になって腰から背中を撫でてみた。

「ひゃあぁっ///」
可愛い声はあげるけど、特別筋肉が付いてるわけでもないし…、それどころか女の子並みに華奢じゃない!生きていけるの?この子。

「ねぇ君、いつも僕を見てビクビクするの、止めてくれない?」
遅刻常習犯の取り締まりを校門でしていたら、相変わらず彼が捕まるもんだから、気になってたことを聞いてみた。

この子の隣にはこれも変わらず牙剥き出しの忠犬。何様のつもり!?

「てめぇ!10代目に近付くんじゃねぇっ!」
「ごっ、獄寺くん…っ」

僕は苛々する気持ちが押さえきれない。何で苛々するかなんて、考えても見なかったけど。弱いものが群れてるための苛立ちだと理解していた。

売られた喧嘩は買わなくてどうするの?
僕はそのままトンファーを出して忠犬と応戦しようとした。
そしたら━…

「やっやめてください!!」

何も出来ずにビクビクするだけの草食動物が、間に入って彼を守ろうとする。

普段眼を合わせる事すら拒否する瞳が、意思を持って僕と対峙する。

(なに、この子)

僕は自分が信じられなかった。交わした視線はとても美しかった。瞳に焔が宿るように煌めいて僕を睨んでいた。

息を呑んで、魅とれたんだ。
 
━━━

雲雀さんの誕生日が近くなるにつれ、書かなきゃ!(笑)と自分を追いつめて書き始めました(^-^)でもすごい楽しいです♪
 
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