ツナ受け長編小説
□『ブラインド ゲーム』
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「あれ!?プリント忘れたみたい!?」
蒸し暑い夏の夕暮れ、陽が延びていることについうっかりのんびりし過ぎて、リボーンに急かされてブチブチ文句を言いながら思い腰を上げてカバンを漁れば、ないっ!ないんだよ!!宿題のプリント!
やるまでは文句言ってたのに、いざないとなると困る。
(ヤバい!数学の先生、かなり嫌みったらしいしんだよ!)
ねちねち、『学識のない者は生きていく価値の低い者だ』とか何だとか、到底理解できない理屈ばっかり言う奴なんだ。
オレはいつも標的にされてる。
そりゃあ出来ないオレが悪いんだけど、でもやっぱり毎回皆の前で恥をかかされるのは御免こうむりたい。
「つべこべ言ってる暇があるなら、さっさと取りに行ってこい」
オレの腕をギューっと掴みねじりあげて、最『凶』の家庭教師様はそう告げる。
「Σ痛たたたっ!!ギブ!ギブだからっ!!」
(本気出すなよっ!!もうι)
「そいつのせいでオレの睡眠時間が削れたらどうしてくれやがる!さっさと行かねーか、ダメツナ」
無表情のように見えて、こめかみに怒りマークが見える。
(ひぃぃぃ!こうなると数学の担任よりもリボーンの方が怖いよ!)
繰り返される修行の成果で、こんな事ばかり先読み出来るようになってしまった。
(しょうがない、学校まで取りに行くか…もう夜だし開いてるかは不明だけど)
「母さん、ちょっと行ってくるね」
「あら、今から?もう暗いんじゃないの?」
「平気!行ってきまぁす!」
気を付けるのよ?、っと心配する奈々の声を背後に聞いてガチャっとドアを開ければ、呼び鈴を押すところだった獄寺くんが外にいた。
「わぁ!」
「どわっ!///」
勢いあまり彼の胸にドンってぶつかって、鼻を打つ。
獄寺くんはオレの二の腕を掴んで慌てて離して謝りだした。
「だ、だ、大丈夫ですか?10代目っ///申し訳ありません!こんな夜分にっ」
「あたたたたι う、ん。ごめんね? あんまり前見てなくて…でもどうしたの?」
(やべ!眼を潤ませて、赤い鼻を擦る10代目、可愛いっス///)
「あ…イタリアから美味しいチョコの詰め合わせ、取り寄せたんで、10代目にいかがかなぁっと」
ニカッて笑う。
(Σわざわざ取り寄せたのー!??)
獄寺くんそういうとこ、気を使い過ぎだよ!
(…でも、嬉しいんだけどね)
クスリと笑う。
「ありがと、でもごめんね?オレちょっと宿題のプリント学校に忘れて、取りに行かなきゃなんないの。上がって、待っててくれる?」
「Σなっ!だったらご一緒します!こんな暗い夜道、10代目お一人で出歩かれるなんて危ないですから!」
「そんな大袈裟な…大丈夫だよ、オレ男だし」
「いーえっ!!10代目を守るのが俺の使命なんで、ダメと仰っても付いて行きます!!」
(この方が一人で出歩かれるなんて、襲って下さいと言ってるようなもんじゃないかっ!)
「あははは、なんだかなぁもう、獄寺くんは///
…じゃあ、一緒に行ってくれる? 実は夜の学校ってちょっと怖くて」
「はい!お任せください!この獄寺隼人、命に変えても10代目をお守り致しますから!」
(いや、プリント取りに行くのに、命掛けるようなことはないと思うよ?)
困惑しながらもちょっと嬉しくなる。
「じゃあ、行こっか?」
「はい!」
オレたちはお互い顔を見合わせてヘへへって笑った。
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夏の風物「肝試し」!そんなに長くはならないハズですが、しばしお付き合い下さい(^w^)♪