ツナ受け長編小説
□『世界で一番君が好き』
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「…おかあさん」
「あらあらツーくん、どうしたの?その子犬…」
綱吉は両手でずぶ濡れの子犬を抱いている。生まれて間もないのだろう。まだ、眼が開いたくらいな、ホントに小さな銀色の子犬。
「あのね?雨に濡れてたの。あのままだったら死んじゃうよ?僕、ちゃんと世話するから…飼ってもいいでしょう?」
やはり雨に濡れている綱吉が、小首を傾げて問いかける。
奈々はちょっと躊躇する。子犬は弱っているみたいだし、もし死ぬのを綱吉が目にしたら、それはまだ小さいこの子には、酷じゃないかしら…
(でも、)
綱吉は子犬を大事そうに抱えている。同じように自分も濡れているのに、子犬の心配ばかりして背中を優しく撫でている。
奈々は軽く微笑んで、綱吉と子犬を交代でイイコイイコすると、
「名前、付けてあげなくちゃね?」
と優しく言った。
◇ ◇ ◇
「僕は綱吉って言うんだよ?」
子犬の体をタオルで拭きながら、綱吉は話しかけた。
「つ・な・よ・し、…わかる? 今年一年生になったんだけど、皆小さいって、弱いって、言うの」
綱吉は少し哀しそうだ。
奈々の用意してくれた温いミルクを鼻先に置いて、頭を撫でてあげる。
「ふふ、名前は何がいいかなぁ?」
う〜ん、とやはり小首を傾げる。
子犬もクゥン?と鼻を鳴らす。
綱吉は目線を下げるように寝転んで、ミルクを飲む子犬の前に向かい合うように、両手で頬杖を付いた。
「そうだね、僕が遅いから…きみはハヤトってつけようかな?ハヤト、僕の友達になってくれる?」
銀色のハヤトは嬉しそうに尻尾を振って、綱吉にすりよる。
「///ありがとう、これからずーっと、一緒にいてね」
綱吉の願いに答えるように、小さなハヤトは「きゃん!」っと吠えた。