ツナ受け長編小説

□『修学旅行へ行こう!』
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二日目の朝も慌ただしい。7時から朝食なのに8時には出発!
散らかった部屋の荷物も…も、いっかなぁ、そのままで。獄寺くんは案外マメに片付けてたけど、うーん…

(案外こーゆーとこキチっとしてるよね)
チラッと横目で見てみる。獄寺くんに言うと、右腕ですから!っとか言われそう。
オレは鏡の前でまとまんない髪と格闘していたがι昨日半乾きだったのかな?クシャリと撫でて諦めて、まぁいっか、と荷物を持った。

「ツナぁ、バス一緒に乗ろーぜ」
「何言ってやがる!10代目の隣は俺だ!」

ってまたこのパターン!?
あんまり騒ぐとヒバリさんが切れるよ、もうっ!

「えーっと、二人とも、オレ、補助席でいーから」
妥協してるのにこの二人ι

「なっ!行けませんその様な!」
「だったら俺が補助席座るのなー」

なんて!俺の膝にどーぞ的な勢い!?
結局行きは獄寺くん、帰りは山本が補助席と云うことで落ち着いた。なんだかなぁ、もういー加減慣れてきたオレもオレだけど。

 ◇ ◇ ◇

二日目のクラス別も神戸。今日は港周遊コースだ。

「海だあ!」

はしゃぐオレを、落ちないでくださいね!って真面目に心配する獄寺くん。

「いくらオレがおっちょこちょいでも、それはないでしょ!?」
ガーンとなって足下を見てなかったらホントに滑った。Σ嘘!?

ぽすんって支えてくれたのはヒバリさん。
「…危ないでしょ」

「あっありがとうございます」
心底ホッとしてお礼を言った。それにしても…
(海!似合わないなあ、ヒバリさん!)

やばい、クスクス笑いが。耐えろっ耐えろオレ!

「…寝グセついてる」
すいっとオレの髪に指を絡ませる。あわわっ///

「てめぇ、10代目に気安く触んな!」
「ワォ、またそれ?いい加減馬鹿の一つ覚えは卒業したら?犬だって学習するよ」

ヒラリヒラリと攻撃を交わしながら放たれたその言葉に、獄寺くんの頭とお尻に銀色の耳と尻尾まで見えてきて、

あーもうダメ!オレ爆笑!

 ◇ ◇ ◇

「あはははは///」
楽しげに笑う声がして、俺もアヒルも手を止めて、その笑顔に眼をみはる。

青い海の水面を反射して、淡い光線が白いシャツと肌に映えてキラキラ光る。

ひとしきり笑ったあと、眩しそうに眼を細めて、細い身体を自分で抱くように身を細めて遠い眼差しで。

何処までも綺麗な人だと思う。

でも、また逆に。

(昨日は妖しいくらい色っぽかった)
思い出すと身体の奥がズクリと痺れるけど、

シャワーで熱く火照った濡れた身体を…、一時でもその心を、手に入れたと思ったのは気のせいだったんだろうか?

組敷いた感触が思い出されて昨日の夜は眠れなかった。
寝息が俺を甘く刺激する。

できればもう一度、いや何度でも、貴方を抱いてそのまま閉じ込めて、俺の事だけ考えて欲しいと思うのは…

(過ぎた願いっスかね)
 
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