ツナ受け長編小説
□『あなたに側にいて欲しい』
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並中の学生が狙われる事件が続いた。何者であろうと、僕のシマを荒らす者は咬み殺す。
事情は知らない。僕はただ気にいらないものを排除するだけ。
なのに…
思い出すだに腹立たしいが、僕はかなりな失態を晒してしまった。次は絶対容赦しない。取り敢えず首謀者らしき人物は始末した、はずだった。
僕のその後の記憶は朦朧としている。ただ、
(光が)
輝く意思が。
そこに在る事をまるで運命だと言うように、強烈な印象を示して、存在していた。
(…君はだれ?)
霞む意識の中、眼があった。それは他者を守ろうとした時の、草食動物のそれと同じ。
(…ああ、そう。君…。
なら、いいか。今さらこの心ひとつ、もう一度くらい奪われても…)
僕はそこで意識を手放した。
その後の事は知らない。
† † †
「綱吉?」
「ひ、ヒバリさんっ!」
あれからも彼の態度は一緒。でも、僕に対する様子が少し変化した。向き合う、ようになった…?
「あの、…黒曜での事、ありがとうございました。オレ、きちんとお礼言ってなくて」
視線、逃げないんだね。真っ直ぐ僕を見る。
すんなりした身体。茶色く透き通った大きな瞳。少し緊張して、紅潮した頬。
…なんだ、この子綺麗じゃない。
強くてしなやかな獣。君なら、僕を満足させてくれる…?
僕はそう言い訳する彼の口元をみる。
お礼?お礼ね…
カタリと応接室の椅子から立ち上がり彼の側に行く。
「お礼なら、態度で示して」
「…?」
僕は彼を引き寄せると、まだ様子が掴めない彼の顎を持ち上げて、ゆっくりとキスをした。
† † †
キスされて、驚いた。確かオレは、ヒバリさんにお礼を言いに。
身動き出来ないオレの唇を、舌でペロッと舐めたあと軽く咬み付かれる。
(うわっ!!///)
「やっ…めて下さい!!」
オレはドンっとヒバリさんの胸を押す。見透かされてるようで怖かった。
オレが、ヒバリさんにずっとそうしてもらいたかった、なんて。
(知るはずがないのにどうして!)
カァァって赤くなる。そんなオレを見て、ヒバリさんは驚いたように眼を見開く。
「綱吉、君もしかして、僕のことー…」
「しっ失礼しますっ!!」
ダンっとドアを開けて逃げ出した。
逃げてる場合じゃないだろ!?オレ!!