Short Story

□雪隠れの約束
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血染めの銀の国
誰が何時からかこの国をそんな様に呼ぶようになったかは知らない
眺める風景には、雪嵐の中に佇む古く遺跡化した城下町
誰も住んでは居ない事を象徴するかのように窓がない家や倒壊した家が何件もある
先に見えるかつてこの国を納める王の居住であった城は雪嵐の白いもやが掛かっていまや魔物のようにこのゴーストタウンを見下ろすだけだった

この辺りは普通の人間がとても住める場所ではない
雪の降りやむ日はない
視界が全く無くなってしまうような雪が毎日毎晩降り続ける
山々に囲まれていてここまで到達するにも何回の雪崩に遭遇することだってある

最初からこんな土地に国家を築く者はいない
ずっとずっと昔にはこの大陸を支配する巨大な帝国だった
―異名は魔法帝国
本当の名前はとうの昔に捨てられてしまった
そうこの豹変は云わば呪いなのだ


ひゅうひゅう
此処を訪れる度に思い出す
そして、返事のない事を灰雲に訪ねる

『貴方はまだ苦しんでいるのですか――?』
『貴方はまだあの約束を覚えていますか――?』


きっと今尋ねれば覚えていないと笑われてしまうだろうと思い浮かべてくすりと笑った
でも、もどかしい今も嫌いでもないし好きでもない

そうだ実際に聞いてみよう、そう思い立ち姿を消した


(あの雪の夜の約束を貴方はまだ覚えていますか―?)



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