寓話
□酔待月
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ぼんやりとした 月の暈
映した瞳は
まだ 戸惑い揺れる
どうして
あの月は 同じ形に留まらぬ
酔待月
大分焦っていた。
大学の経営学部4年の私は、冬を迎えた今も就職先が決っていなかった。
就職活動なんて結構楽観的に見ていて、まぁ何社か受ければ内定をもらえる程度に考えていた。
だから、みんながいろいろな企業の説明会に参加し始めた頃も何もせず過ごしていたのだ。
そのつけが回ってきた。
周りの友達が内定を貰い始めてからやっと自分がとり残されてしまったことに気付いた。
うかつだった。
正直、希望する業界というものもない。
自分が何に向いているのかさえも分からない。
とりあえず何社か受けてみたが、どれもかすりもしなかった。
もうこの時期にもなると内定を貰っていない人の方が少なくなってきていた。
だからすごく焦っている。
もしこのままどこも決らなかったら、親に合わせる顔もない。
周りの友達が社会人として歩みだすのに、自分だけもう1年就職活動なんてのも嫌だ。
この日、私は1人の友と飲んでいた。