寓話
□神の少年〜来訪〜
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ゆらゆらと揺れる
形のないものたち
そっと伸ばした手は
ほらまた
確かな虚空を掴むだけ
神の少年
〜来訪〜
しんと静まり返った居間で、
壁にかけてある古い時計を見て微笑んだ。
真夜中の12時。
日付が変わって、
今この瞬間に14歳になった。
14歳という響きには
少し特別なものを感じる。
13歳から比べると、
幾分も大人になってしまったような。
でも15歳から比べたら、
まだまだ子供でいられるような。
そんな自分勝手な定義を
頭の中で反芻して、
もう一度14歳になったという
喜びとときめきを噛み締めた。