寓話

□神の少年〜朝影〜
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確かなものなど何もない
確かめる術さえもない


それなら いっそ見たくない


信じられないものなど
全て消えてしまえばいい



神の少年〜朝影〜



冷えた感覚に、突然頭の中が冴え渡った。
流れるように寒さは全身を包んでいった。

ゆっくりと重くなった瞼を開けると、目の前は白い。

「ん・・・」

大きく欠伸をして、まだぼんやりとしている目をこする。
よく見慣れた部屋の天井。
閉じられたカーテンの隙間から優しい色の陽が零れている。
布団にくるまっているというのに、すごく寒い。

しばらくそのままでいると、容赦のない音で部屋のドアが開かれた。
一気に空気が流れ出して、代わりに更なる冷気が布団の中へ染みてくる。

「あ、お姉ちゃん起きてたの?」

入ってきたのは妹のカナで、私よりずっと早く起きて部屋から出ていたらしかった。

「あのさ、外見てみて?」

まだ寝ぼけた顔をしているだろう私と違い、カナの表情は活き活きとしている。
私は小首を傾げながらも、ゆっくりと布団から出てカーテンを開けた。

 
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